スポーツ障害リハビリ

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スポーツリハビリテーション

〜怪我の原因を理解する・自己管理できるリハビリテーション〜
投球動作・バッティング・走行は全身を使う動きです。
当院では痛めた肩・肘・下肢・腰などは、他の部位と関連していると考え全身のコンディショニングを行っています。

理学療法士と一緒に「何で怪我をしたのかを理解する」リハビリテーションの時間です。ここでは野球選手の対応に関して紹介しますが、バレーボール、バドミントン、テニス選手の肩障害、サッカー、ラグビー選手の股関節、膝関節障害、足関節障害、マラソン選手の膝、足障害、成長期の選手に多い膝痛(オスグッド・シュラッター病)、スネの痛み(シンスプリント)などに対しても全身からのアプローチを行い改善を目指します。

リハビリテーションを行う頻度

その中で痛めた部位と他の部位の関連性を選手・保護者に説明してトレーニング指導をします。
例えば、足の動きが不足しているので肩を痛めた一つの原因ということも多々あります。

様々な部位との関連性を説明して、選手・保護者にトレーニングの必要性をお話して、全身のトレーニング指導を行っていきます。

スポーツリハビリテーション
アーチ強化訓練
アーチ強化訓練

トレーニング用パルクール器具
・足アーチトレーニング
・投球動作では股関節の動きだけでなく、上半身の動きも大切です。

※選手によって原因が様々であり、掲載しているトレーニング以外も様々な種類のものを行います。
投球動作により近い動きのトレーニングも指導します。

リハビリメニューとしては、もちろんパフォーマンスアップも目指してパルクールトレーニングを行います。

トレーニング用パルクール器具

・また、ウエイトトレーニングも指導することもあります。
ウエイトトレーニングでは肘手術後の選手に対しても手術後から早期に行える下肢のトレーニング器具もあります。

このように投球中止期間と言われても全身のコンディショニングを行える環境になっているため、怪我のしにくい身体づくり・怪我以上の身体を目指して指導をしています。

ウエイトトレーニング

・また、投球開始期間になると、投球動作のチェックも行います。
投球障害の原因の多くは、投球動作に隠れています。
当院では、肩・肘に対して負担のかからない投球動作を指導します。
理学療法士が主観的な指導でなく、全身の影響と肩・肘・腰などに関連した動作を指導します。

投球動作のリハビリテーションでネットスローをする。
投手では、実践により近い形でマウンドを使用して投球を行います。

投球動作のチェック

・また、選手・保護者にも分かりやすいように投球中の球速、肘のストレス測定など数値化したものでリハビリの作用を説明します。肘のストレス測定、スピードガンは小、中学生でも計測して、リハビリメニューに合ったスピードを実感してもらいます。

また、ハイスピードカメラを使用して投球時伊野尾の握りなど選手の細かい動作の確認をします。選手の投球動作と肘ストレスの関連を測定する器具を使用します。ボールの大きさを変えながらその選手に合った握りを実感してもらいます。

スピードガン

ランニング時の荷重を評価

・投球時の痛みに限らず、腰・下肢の痛みが出現する選手に関しては、ランニングマシンを使用して、動作の確認・指導を行います。荷重バランスを視覚的に評価するためのスマート・シューズを使用します。

ランニング時の荷重を評価

・バッティングでの各所の痛みに対しては、スイングのチェックもします。
投球動作・ランニング・バッティング動作に関しては、主観的な指導でなく理学療法士が痛めた部分と他の部位との関連性を考えて、怪我した部分にストレスなく動ける動作指導を行っています。

スイングのチェック

スポーツの怪我でお困りの選手に早期復帰を目指して、診断とリハビリテーションを行います。
ただし、休養が必要な選手に対してはその必要性を説明して、その間にけが予防、レベルアップのためのトレーニングを指導、実施します。

投球障害に対する取り組み

投球中の肘の負担を評価
投球中の肘の負担を評価
球速測定、高速度カメラでリリース時の握り評価
球速測定、高速度カメラでリリース時の握り評価
ボールの大きさを変えたり、種類を変えて選手個人に合った握り、効率の良いスローイングを体験します
ボールの大きさを変えたり、種類を変えて選手個人に合った握り、効率の良いスローイングを体験します

投球障害とは、投球動作を繰り返す事によって肩や肘に痛みが生じ、全力投球できない状態の事です。成長期と成人では体力、筋力、運動能力、スキルが違うため同一のトレーニングを行わず、年代、レベルに合わせたトレーニングを指導します。

成長期、成人いずれもメカニズムは異なりますが、肩、肘にストレスがかかりすぎて障害が起こります。成長期、成人いずれも肩、肘以外の箇所の機能を改善して肩肘へのストレスを軽減することがポイントになります。これは投球フォームを含めて改善させることになりますので、パフォーマンスを上げることを意味します。具体的に表現すれば投球能力(球速、回転数、コントロール)の改善と直結します。

投球障害の具体的な怪我の内容は「スポーツが原因の痛み」に記述しています。個々の怪我では安静にしておく期間が必要になります。ここで待っている時間をできるだけ短くするために故障箇所以外のトレーニングが重要になってきます。肩、肘への負担を減らすために投球に必要な体の動きを全てチェックしてゆき改善させます。症状が緩和して行くことを確認しながら、リハビリとして投球を開始してゆきます。症状の改善と投球機能の改善のトレーニングを並行して行うことで以前より早期に復帰できるようになっています。

投球障害の診断、評価の中で胸郭出口症候群(TOS)の有無の判断がとても重要なポイントになります。詳細は「スポーツが原因の痛み」の項に記述しています。投球障害の選手の半分以上にTOSの症状があります。まずTOSの状態になった後に肩、肘障害が出ることが多いようです。TOSの症状が残っていると肩、肘障害を繰り返します。また、TOSの状態では球速が落ち、コントロールも悪くなります。1.投球内容が急に悪くなる(フォアボール、デッドボールの連発)2.とんでもない暴投をすることがある(イップスといわれてしまう)などは要注意です。

リハビリテーション内容

障害の原因として、

  • 1.下半身を中心とした身体の硬さがある。
  • 2.急にたくさんの投げ込みを行った。
  • 3.何か新しいトレーニングを始めた。
  • 4.急激に身長が伸びている。
  • 5.筋力が不足している。
  • 6.投球動作のスキル不足である。


などが挙げられます。
このように投げられなくなるには原因があります。投げられなくなった原因を選手が理解することも大切になってきます。
肩や肘の痛みに対しては、投球禁止期間が必要となります。投球禁止期間は症状の重症度によりさまざまです。投球禁止期間中に早期復帰に向けてリハビリテーションを行っていきます。まずは、選手一人一人の柔軟性、筋力を評価します。選手に怪我をしないために必要な柔軟性、筋力を説明し、今の自分がどのような状態で、どのくらい柔軟性や筋力が足りないのかを理解してもらい、選手に合うリハビリテーションプログラムを行っていきます。

リハビリテーション内容

下肢ストレッチ
当院に投球で怪我をしてくる選手は、ほぼ全員柔軟性の低下がみられます。座って開脚をし、股割りで肘がつく状態が最低限必要な柔軟性と考えます。

肩・肘・肩インナーマッスルエクササイズ
肩・肘エクササイズは小・中学生で起こりやすい怪我(成長期の怪我)だと骨・軟骨が未成熟な時期なので、軽いダンベル負荷(1kg程度)で運動を行います。高校生以上であれば、痛めない範囲で負荷はどんどん上げていきます。投球開始までの目安は5kg以上を20回を3セット行えることです。
肩インナーマッスルエクササイズは、小・中学生、高校生以上の選手は同じ内容になります。

投球に向けたトレーニング
選手を評価し、スムーズな投球動作を阻害している因子に対してのトレーニングになります。体幹に問題があれば体幹トレーニング、足部や足のアーチに問題があれば足のアーチを作るようなトレーニングを行います。

投球に向けた動作指導
投球禁止期間中に、TOPまでを作る動作練習やフォロースルーで肩や肘に負担をかけないように力を上手く逃がす練習を行います。投球動作を評価し選手に必要な動作練習を行っていきます。

スローイングプログラム
投球開始=練習復帰とはなりません。スローイング開始からの再発を予防するためにスローイングプログラムに沿った強度やペースを守っていくことが重要になります。スローイングプログラムは2週間コース、3週間コース、1力月コース、1力月半コースなどがあります。競技復帰は、スローイングプログラム終了後となります。

投球動作指導
小・中学生や高校生以上で獲得すべき投げ方の違いはありません。投球動作は上肢を中心に行われる動作ですが、足部→股関節→体幹→上肢と連動していく全身運動です。良い運動連鎖で肩や肘に負担の少ない投球フォームを獲得する事を目標とします。また、内野手であればゴロを捕球してからのスローイングといったように競技復帰に向け選手のポジションに応じた練習も行います。
投球中の肘ストレス測定器、スピードガン、ハイスピードカメラなどを用いて投球評価をしながらリハビリを進めます。ボールの握りにより障害を発生している場合があります。手の大きさ、指の長さ、本人の感覚は人それぞれなので基本的な握り方を強要しません。プロの選手も決して同じ持ち方をしていません。投げやすい握りを確かめるためにボールの大きさを変えながら投球練習することもあります。

リハビリテーション内容

Rapsodo pitching
ラプソードピッチングとは?

球速、回転率、回転軸、回転効率、変化量およびストライクゾーンを分析し、リアルタイムで確認できます。過去の投球データや統計データを確認することで、選手のパフォーマンスの向上を視覚的に確認できます。

当院での活用
①投球行う(ラプソードによる投球解析)

②理学療法評価結果、ラプソード投球解析を照合させ問題点抽出

③投球指導

④投球行う(痛み、球速、回転数、回転軸、リリース位置、軌道の変化)

⑤投球フォームの修整、パフォーマンスの向上

ラプソードピッチング
ラプソードピッチング
ラプソードピッチング

リハビリテーションを行う頻度

リハビリテーションを行う頻度は週に1回や2週間に1回となることが多いです。ご自宅での運動も大変重要になってきます。当院で行った運動を覚えてもらい、ご自宅でも行ってもらうようになります。

競技復帰するとリハビリテーションは終了となります。投球禁止期間+スローイングプログラムがリハビリテーションの期間となります。選手によってさまざまですが、3週間から2力月で競技復帰となっている場合が多いです。1日も早い競技復帰を目指し、リハビリテーションを行っていきます。

当院スポーツリハビリテーションの研究成果について

  • ・スポーツ医学月刊誌Sportsmedicine170号 トレーニング障害 – 胸郭出口症候群と肩不安定症 2015年
  • ・スポーツ医学月刊誌Sportsmedicine180号 投球障害と胸郭出口症候群 2016年
  • ・スポーツ医学月刊誌Sportsmedicine186号 「呼吸・重心・姿勢」と「投球動作スクリーニングテスト」 2016年
  • ・スポーツ医学月刊誌Sportsmedicine204号 投球障害の胸郭出口症候群を目線から考える 2018年